昨今、良質なヴィンテージ・ギターは価格が高騰し続けており、入手も難しく、気軽に弾けるものではなくなってきました。
しかし、そういった市場価値ではなくヴィンテージのサウンドに魅了され、憧れを持つかたがたに『新品でありながら、使えるヴィンテージ・サウンドを持ったギターをお届けしたい』という思いから、Creek "Time Machine Series"は生まれました。

同シリーズでは、全てのモデルにおいて「新品でありながらも、如何にしてヴィンテージ・サウンドに近づけるか」をゴールに据え、各モデルを製作する際には、必ず実在する個体からデータを取り、設計やマテリアルの選定を行っております。

そして、単純に形状を模倣したレプリカではなく、ヴィンテージ・ギターを持った瞬間感じる"軽さ"、ネックを握った際の"熟れた感触"、そして、音を出した際に感じる"奥深く乾いたヴィンテージ特有の響き"など、新品のギターでは本来味わえないヴィンテージならではの特別な感覚とサウンドを再現する為、随所に工夫を凝らしました。

例えば、CJFGやCSJ、そして新たに登場したCJEGのトップ材とブレイシング材には、厳選したトリファイド材を使用しております。

楽器業界では10年ほど前から使用されているトリファイド材ですが、ここ数年でようやく納得いく品質のものが安定的に手に入るようになり、私たちが"Time Machine Series"を製造するきっかけともなりました。

CJFGやCSJはトリファイド・シトカ・スプルース、CJEGにはトリファイド・アディロンダック・スプルースを採用しております。

私たちが使用するトップ材やブレーシング材は、アメリカのトップ・ルシアー達が、少量の良材を仕入れる為に利用しているウッド・サプライヤーから調達しています。
さらにトリファイドの加減も、私たちがもっとも良いと考えるレベルに調整できる加工業者様に加工を行っていただいております。

ひとえにトリファイド材、トリファイド加工を行った材であれば何でも良いというわけでなはく、良材である事と、絶妙なトリファイド・レベルをセレクトできることが、私たちが求める質感を表現する為に非常に重要な要素です。

指板はヴィンテージ・ギターの新品当時の指板厚より微かに薄く作っています。これらは重量面だけでなく、楽器全体の響きや、ネックを握った際の熟れ感にも大きく関わります。

そして塗装です。「ヴィンテージ・ギターの塗装は薄い」というのが通説ですが、必ずしも全て新品当時から塗膜が薄いとは言えず、多くは経年での摩耗や硬化により辿り着いた姿であると考えております。"Time Machine Series"ではエイジドを施す理由からも、ヴィンテージ本来の塗装よりも薄く硬い塗装を施しております。

Creekでは、木工加工と塗装 / エイジド加工を別々の業者で行っております。
手間やコストはかかりますが、私たちが求める技術を持った、それぞれの加工業者様で行っていただくようにしています。

また、エイジドにおいては、基本的には、ある特定のヴィンテージの実機を参考にしておりますが、すべての個体で均一にはせず、エイジド具体 (キズの多さ / 少なさ)も、そのバッチや個体によって決定しております。

これら複合的な要素により、ヴィンテージ・ギターを持った瞬間に受ける感覚を、さまざまな面から再現しています。もちろん、これらはサウンドにも大変良い影響を与えております。

現在販売しているCreek "Time Machine Series"は、私たちがこれまでに得たヴィンテージ・ギターのノウハウに対する一つの解釈を形にしたものですが、今後はヴィンテージ・リイシューに限らず、モダンなモデルにも挑戦していく予定ですので、乞うご期待ください。